さつまいもの保存方法

受賞理由

味で勝負する「焼き芋」販売戦略による地域活性化と農家所得の向上
○氏名又は名称 JAなめがた甘藷部会連絡会(代表 箕輪 秋雄)○所在地 茨城県行方市 ○出品財 経営(かんしょ) ○受賞理由 ・地域の概要 行方市は、霞ケ浦と北浦に挟まれた半島状の地形であり、両湖岸は平坦な水田地帯、中央部は赤ノッポ土壌からなる起伏にとんだ傾斜畑地帯が広がる。同地域では年間約60品目を生産しており、首都圏消費地まで70km圏内という大消費地に近い地の利を生かし、首都圏における生鮮野菜の供給基地としての役割を果たしている。 ・受賞者の取組みの経過と経営の現況 当部会は、平成10年頃からの景気低迷等の影響によるかんしょの消費落ち込みや販売価格の低下により農業経営が不安定となる中で、それまで冬場の引き売り販売による高価な商品という印象が強かった「焼き芋」を、いつでも手ごろな値段で買え、味でも勝負できる「焼き芋」とするため、関係者と連携し、焼き方や味に関わる内容成分の分析を行い、良食味品種の高品質栽培技術を確立させた。この「焼き芋戦略」が実を結んだことにより、品目転換する生産者が増え、栽培面積は平成17年の48haから平成27年の700haへ、販売金額は、14.5億円から36.9億円へと拡大しており、かんしょを軸とした地域づくりと農家所得の向上を実現している。 ・受賞者の特色 (1)「焼き芋戦略」の成功によるかんしょを通した地域農業
の振興 当部会は、生産者、仲卸業者、小売店と協力し、地元スーパー店舗内に電気オーブンを設置して焼き芋販売を開始。また、3品目(紅優甘、紅まさり、紅こがね・熟成紅こがね)の栽培技術の確立とリレー出荷、キュアリング定温貯蔵(掘り取った芋を土付きのまま定温で貯蔵すること)による腐敗対策。でん粉含量別ほ場マップ化、「焼き芋」のおいしい焼き方マニュアルの作成などを行っている。 (2)食品メーカーと連携した加工向けかんしょの商品化及び地域農業の活性化 全国展開している菓子メーカーと提携して、廃校を活用した体験型農業テーマパーク施設を建設し、加工施設、レストラン、お土産コーナーを設置するなど6次産業化にも積極的に取り組むことで、かんしょの消費拡大及び地域活性化を実現している。 ・普及性と今後の展開方向 マレーシアやタイ等への輸出を進めるとともに、若手継続者の青年部組織「TEAM FUTURE」による栽培技術研究や全国各地のスーパー店頭での宣伝、他県の若手継続者との意見交換の実施等、更なるかんしょ産地としての発展を目指している。
農林水産祭最高の栄誉である『天皇杯』を受賞して なめがた農業協同組合 代表理事組合長 棚谷 保男
行方地域は、多品目産地であります。多品目産地だからこそ、多くの情報や、人とのつながりがあり、その結果として今回の受賞に繋がったと改めて感じております。
今後は、この受賞を軸として、行方地域そのものをブランド化して地域を盛り上げ、農家所得の増大等、組合員・担い手の皆様が実感し、なくてはならない協同組合運営を行ってまいります。
今後ともよろしくお願い申し上げますとともに、皆さまの益々のご繁栄をご祈念申し上げまして、あいさつといたします。
さらなる飛躍を目指して JAなめがた甘藷部会連絡会 会長 箕輪 秋雄
今回の天皇杯受賞の知らせを受けた際には、これまで皆で「土地をえらび 技をみがき 心でつくる」をモットーに、“味”にこだわったカンショ作りに邁進してきた事が評価されたのだと思うと感無量のものがありました。
苦境を乗り越えるために確立した「焼き芋戦略」によって、一年を通して美味しい焼き芋を提供できるようになりました。また、食品企業と提携して体験型農業テーマパーク施設を建設し、カンショの魅力をより多くの方々にPRできるようにもなりました。これらの成果は,関係する皆様のお力添えがあってこそのものであり、深く感謝いたします。
今後は産地の更なる飛躍を目指し、国内のみならず世界に当地域のカンショの美味しさを広めていきたいと考えています。

受賞までの歩み

最高の栄誉である天皇杯受賞の喜びを分かち合う・部会発足から42年

 甘藷部会は、1976年、35名の部会員が加盟し、旧麻生町農協で発足しました。立ちあげを担当したのは、当時農協に入組3年目の棚谷保男組合長。「以前から加工でんぷん用として出荷していた芋はあったが、これからは、品種も、栽培方法も変えて、生食用として販売する。新しい栽培方法に参加して、出荷して欲しい」と当初組合長は、一軒一軒の農家へ生食用甘藷の作付依頼や出荷の依頼をして歩きました。連絡会の箕輪秋雄会長は、組合長と同級生で、「生食用の芋の出荷を頼まれて出しても、組合長は出荷の基準となる規格表もない頃から品質に関しては当時から厳しかった。出荷者全員の商品を出荷するという気持ちの引き上げからのスタートだった」と当時を振り返ります。

 その後、行方地域の農協が広域合併し、平成3年には、現在の連絡会が誕生。価格の低迷など多くの困難ありましたが、生産者や県の農業技術指導機関、取引先の仲卸業者、市場、小売店が協力・連携することで情報や技術を積み重ねてきました。課題にぶつかっては、解決法を探るを繰り返し、試行錯誤を重ね、色、艶、形の見た目だけではなく、焼き方や味に関わる成分の分析を行い、良食味品種の高品質栽培技術を確立しました。焼き芋戦略が実を結んだことにより、品目転換する生産者が増え、栽培面積は2005年の487㌶から2015年には700㌶、販売金額は14.5億円から36.9億円へと拡大し、甘藷を軸とした地域づくりと農家所得の向上を実現しました。

 天皇杯の受賞を祝し、JAなめがたは4月3日、神栖市の鹿島セントラルホテルでJA甘藷部会連絡会の第56回農林水産祭「多角化経営部門」天皇杯受賞祝賀会を開きました。衆・参の国会議員、大井川茨城県知事、首長、県議会議員、指定市場19社などを招き、JA関係者、生産者ら約400名が出席し、長年の努力が認められた受賞の喜びを分かち合いました。

 棚谷組合長は、挨拶冒頭に各関係者への感謝を述べ、「行方地域は多品目地域。JA、甘藷部会員の力だけではなく、地域全体の人、多くの関係者の方とのつながりによって、この大賞を頂けたと感じております。今回の受賞をはずみとして、茨城県はもとより、行方地域そのもののブランド化をより一層推し進め、農家の所得向上に向け、皆さんと一緒になって前進していきます」と感謝と今後の展望を述べました。

 今後も365日おいしい焼き芋を皆様にお届けするよう、JA・部会員一同精進してまいります。

日本農業のトップランナーたち 第46回日本農業賞 集団組織の部 大賞としてJAなめがた甘藷部会連絡会が掲載されました。

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